アルツハイマー病とは?その原因やアルツハイマー病患者への接し方なども紹介します。

  1. アルツハイマ―病とはどのような病気?
  2. アルツハイマー病は2つに分けられる!
  3. アルツハイマー病と認知症の関係性・違いは?
  4. アルツハイマー病はなぜ起こるの?その原因は?
  5. アルツハイマー病の症状・予兆は?
  6. アルツハイマー病の治療法は?
  7. アルツハイマー病患者への接し方はどうすれば良い?
  8. アルツハイマー病を防ぐ方法は?
  9. 認知症関連の記事を紹介!
  10. 介護のお役立ち情報を随時配信!
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アルツハイマー病は、これらの症状が複雑にからみ合って様々な困難を引き起こし、日常生活が営めなくなっていく病気です。ここでは、アルツハイマー病についての概要だけでなく、認知症との関係性や違い、起こる原因、アルツハイマー病患者への接し方なども紹介します。

当コラム内容について

脳梗塞について、インタビュアーに専門家の1見解をもとにまとめました。
以下でご紹介する内容で異なる場合もあるかもしれませんが、ご理解の程よろしくお願い致します。

アルツハイマ―病とはどのような病気?

記憶,思考,行動に問題を起こす脳の病気!

アルツハイマー病では、脳の機能が低下することで記憶、思考、行動に様々な問題が起こります。最も目立つ症状は記憶障害です。記憶障害とは、過去のことを思い出せない症状のことです。見聞きしたことが覚えられず、数分前などごく最近の出来事を思い出せないのが特徴です。思考力が低下し、適切な判断ができなくなります。季節に合った服を選べず、夏なのにセーターを着たり、お金の計算ができなくなったりします。徘徊する、不穏になって大きな声でわめく、叩く、物を投げるなど、行動にも変化が起こります。 アルツハイマー病は、これらの症状が複雑にからみ合って様々な困難を引き起こし、日常生活が営めなくなっていく病気なのです。

アルツハイマー病は2つに分けられる!

アルツハイマー病の症状は、中核症状(認知機能障害)、BPSD(周辺症状)に分かれます。65歳未満に発症したものは、若年性アルツハイマー病と言われます。

中核症状について

中核症状には「記憶障害、見当識障害、失語、失行、失認、実行機能障害」などがあります。

▼補足説明
見当識障害:
自分がいる場所が分からない、日時がわからない、話している相手が誰なのかわからないなどの症状。

失語:
単語を思い出せなくなり、言葉がうまく出てこなくなる。

失行:
長い間行ってきた動作が行えなくなること。

失認:
視力は正常なのに物の位置を正しく認識できないこと。

実行機能障害:
段取りを考えたり、計画を立てたり、順序良く物事を行うことができなくなること。

BPSD(周辺症状)について

BPSD(周辺症状)は、暴力や攻撃的な発言、強い不安、こだわり、執着、興奮、徘徊、妄想、不眠、失禁など多岐にわたります。また、中核症状に伴って起こると考えられています。アルツハイマー病患者さんのすべてがBPSDを発症するとは限りません。症状の現れ方も人それぞれです。
患者さんのことを「アルツハイマー病になって人が変わったようだ」と表現されることがありますが、BPSDによるものと考えられます。

アルツハイマー病と認知症の関係性・違いは?

認知症を引き起こす原因の一つ!

アルツハイマー病は、認知症を引き起こす病気の一つです。一方で認知症とは、病気ではなく症状のことです。
認知症の原因となる病気には「脳血管型認知症」「レビー小体型認知症」などがあります。アルツハイマー病は、認知症の6割ほどを占めています。

アルツハイマー病はなぜ起こるの?その原因は?

脳の全体が萎縮することで起こる!

脳にはアミロイドβたんぱくという特殊な物質が存在します。最新の研究では、このアミロイドβが何らかの原因で脳の中に過剰にたまり、脳神経細胞を破壊することがわかりました。その結果、脳細胞数が減って脳が委縮し、アルツハイマー病を発症すると考えられています。なぜこの物質がたまるのか、原因は明らかになっていません。

アルツハイマー病ではどのような経過をたどるの?

アルツハイマー病を発症すると「初期、中期、後期」の経過をたどり、10~15年で死亡します。初期は1~3年で、記憶障害が目立つようになり、見当識障害が起こります。BPSDにより性格が変わります。中期は2~10年で、記憶障害が進行し、失語や失行などの症状が出現し、日常生活を送ることが難しくなります。続く3~12年の後期では、手足の動きが低下して寝たきりとなり、肺炎などの全身の合併症を起こして死亡にいたります。

アルツハイマー病の症状・予兆は?

『物忘れ、計算や言葉の能力低下など』は危険なサイン!

アルツハイマー病の物忘れは、加齢によって起こる物忘れとは違います。例えば「昨日食べた夕飯のおかずは何だっただろうか」と食事のメニューが思い出せないのは老化による物忘れです。アルツハイマー病では「私は昨日夕飯を食べただろうか」といったように、食べたこと自体を忘れます。記憶そのものがすっぽり抜け落ちるため、自分が物忘れをしているという自覚がありません。記憶の一部分ではなく、全体を忘れてしまうのが特徴です。忘れた事柄について家族がヒントを出して思い出せるなら、アルツハイマー病の可能性は低いでしょう。

アルツハイマー病を判断する10のサイン!

アルツハイマー病を判断する10のサインです。記憶や思考、判断、人格、社交性などを観察して、当てはまる項目が多いときはアルツハイマー病が疑われます。

1.物忘れが目立ち、日常生活に困ることが増える。
2. お金の計算や管理に間違いが目立つ。
3.慣れている家事や仕事ができなくなる。
4. 時間や場所がわからなくなる。
5.見たことと理解が一致しない。
6. 会話や書く言葉が間違っている。
7.物の置忘れが目立ち、記憶をたどって思い出せない。
8. 判断力が低下し、電話での勧誘などに応じる、身なりにかまわなくなる。
9.仕事や趣味をやめ、人との関りを避けるようになる。
10. 怒りっぽい、疑り深いなど以前とは性格が変わる

アルツハイマー病の診断について

アルツハイマー病の診断は、医師による診察、神経心理学的検査、血液検査および脳画像検査によって行われます。神経心理学的検査には、長谷川式認知症スケールやミニメンタルステート検査があります。医師が患者さんに認知機能や記憶、実行機能などについて口頭で簡単な質問をします。脳画像診断は、頭部CTやMRIで行われます。
神経心理学的検査で一定のレベルを下回り、脳の萎縮が確認されると、アルツハイマー病と診断されます。

早期発見が大切な病気ですが、患者さんが受診を嫌がることも少なくありません。家族が受診をためらうこともあります。そのため受診が遅れて発見が遅れるケースがあります。

MCI(軽度認知障害)には要注意!

MCI(軽度認知障害)とは、認知症になる前の段階です。まだ認知症とは言えませんが、そのまま進行すると数年でアルツハイマー病を発症すると考えられています。MCIの治療を早期に開始することでアルツハイマー病の発症を遅らせられる可能性があるため、早期発見が大切です。

MCIとアルツハイマー病の見分け方

MCIとアルツハイマー病の見分け方は、日常生活に支障があるかどうかです。物忘れなどの問題があるものの、おおむね普段どおりに日常生活を送れていたらMCIと言えます。
MCIでは日常生活は送れているので見逃しがちです。生活の中で本人が困っていることをしっかり観察することが早期発見につながります。

MCI(軽度認知障害)の危険サイン!

MCIはごくわずかな異変です。患者さんとの会話で「あれ、いつもと違うな」と変化に気づくことが、MCIの早期発見につながります。MCIが疑われるサインが4つご紹介します。

1.会話に関するサイン

家族旅行などのイベントがあったことは覚えているが、いつ、どこに行ったのか詳細を思い出せない時は、MCIのサインと考えられます。

2. 家事に関するサイン

料理中にフライパンを焦がしてしまう、水道の水を出しっぱなしにする、洗濯機のボタンを忘れるなどの異変が何度も見られるようになります。

3.外出に関するサイン

季節に合わない服装を着ている、外出したがらなくなるなどの変化が見られます。

4.. 仕事に関するサイン

記憶力や判断力の低下により、仕事のミスが増えます。同僚から何度も同じミスを指摘されることも少なくありません。新しい仕事に対する意欲が低下します。

アルツハイマー病の治療法は?

大きくは『認知症症状』『周辺症状』それぞれでの薬物療法!

アルツハイマー病の治療は、病気そのものを治すものではありません。現在のところアルツハイマー病の治療薬はなく、病気の進行を遅らせたり、症状を軽くしたりするための薬物療法がメインになります。
薬物治療の目的は、大きくは「認知症症状」の改善と「BPSD(周辺症状)」の改善に分けられます。認知症症状の治療には、現在は表1の4剤が医療保険の適応となっています。

ドネペジル(アリセプト)

効果・特徴:
神経伝達物質を抑え認知機能を改善。
おもな副作用:
食欲不振・嘔吐・不穏・興奮。

ガランタミン(レミニール)

効果・特徴:
神経細胞を保護 不安・イライラの改善。
おもな副作用:
食欲不振・嘔吐など消化器症状。内服開始後とお薬を増量した時に起こりやすい。

リバスチグミン(イクセロンパッチなど)

効果・特徴:
神経の情報伝達を助ける。肌に貼るタイプのお薬。
おもな副作用:
皮膚のかぶれ・かゆみなど。

メマンチン(メマリー)

効果・特徴:
上記3剤と併用できる。
おもな副作用:
めまいによる転倒・眠気・便秘・食欲不振・頭痛・幻覚。

アルツハイマー病の症状は患者さんごとに違うため、症状に合わせていくつかの薬物が処方されます。BPSD(周辺症状)には、サアミオンや抑肝散が多く用いられます。抑肝散は子どもの夜泣きによく使われる漢方薬です。BPSDの薬物治療は調節が難しく、副作用も出やすいため、積極的に行わない方がよいとされています。

アルツハイマー病患者への接し方はどうすれば良い?

本人の気持ちに寄り添うことが大切!

アルツハイマー病の患者さんに接する時にもっとも大切なのは、尊厳を守ることです。認知症患者さんは、家族や介護者から忘れたことやできないことを指摘されたり怒られたりすることが少なくありません。「自分はもうダメだ」と自分を情けなく感じ、自尊心が低くなります。患者さんが「自分は大切にされている」と感じていただける接し方をします。そのために認知症の理解とケアのコツを知ることが大切です。

対応に困った時の対処法を事例を紹介!

【事例1】徘徊するので事故に遭わないか配です。

周りからは宛もなく歩き回っているように見える徘徊。徘徊による事故やケガも報告されており、介護者には大きな心配事です。安全のために部屋に施錠して閉じ込めるのは逆効果です。窓から飛び降りる危険があり、怒りや暴言などのBPSDが悪化する可能性もあります。

徘徊には理由や目的があると言われます。近所に買い物に行った帰りに、道順がわからなくなり、そのまま徘徊するケースや、自分が自宅にいることを認識できず、安心できる場所を探して徘徊するケースもあります。また、自分の子どもがまだ小さいと認識してしまい、子どもを迎えに行くために徘徊することもあります。
徘徊には本人にとって意味がある行動なので、やめさせようとするより、一緒に歩くなど安全に徘徊できるよう援助するとよいでしょう。

【事例2】何度も同じことを繰り返す時、どう返事したらいいでしょうか?

認知症患者さんは同じことをくり返すことがあります。繰り返して言う事柄には、その人にとって最も気になることや大切なことが表れています。長い間主婦として家庭を切り盛りしてきた高齢女性では、家事や育児に関することが気にかかり、それについて何度も尋ねます。
また患者さんは、気がかりなことを伝えても、伝えたこと自体を忘れてしまいます。そのため「まだ何か大切なことを伝えられていない」という漠然とした不安を抱くと言われています。

何度も訴える行動のうらには、「大切なことを理解してもらいたい」という思いがあります。大切なことを忘れてしまう辛さを汲み取り、あたたかく対応するとよいでしょう。また、記憶障害と見当識障害によってトイレの場所がわからず何度も尋ねる場合は、張り紙をして目印をつけるのも効果的です。

【事例3】財布を盗られたと訴えられ、困っています。

玄関に施錠をしたり、財布を保管したりすることは誰にとっても重要なことです。認知症患者さんは財布の置き場所を忘れるのではなく財布を保管したことそのものを忘れるため「財布を盗られた」と感じてしまいます。記憶障害が進行するに伴い、自分が大切にしているものを盗られるのではないかという猜疑心も大きくなっていきます。

そのような時は、盗られたという訴えを否定せず、一緒に探しましょう。「わかってもらえた」という安心感につながります。訴えを理解されたことで、物忘れしても人を疑う気持ちは少なくなり、穏やかに過ごせる可能性があります。

アルツハイマー病を防ぐ方法は?

基本は「生活習慣の改善、運動、睡眠」

規則正しく生活することで、病気の進行を抑えることができます。運動を行って十分な睡眠を取ることで、アルツハイマー病を引き起こすアミロイドβが脳の中にたまるのを防ぐと言われています。気分の安定にもつながり、BPSDを発症しにくくなる効果も期待できます。
また、日時がわからなくなり不眠などの症状が起こるため、生活のリズムが乱れがちです。介護者が規則正しく生活できるよう援助することが重要です。

早期発見も大きな予防策!

アルツハイマー病の治療法は、現在のところ確立されていません。しかし、早期発見・早期治療により進行を遅らせることが可能だと言われています。アルツハイマー病による生活上の問題も介護者の対応で軽くなることもあるため、家族の協力が重要です。

家族のケアも大切!

アルツハイマー病患者さんの精神症状は身近にいる介護者に向けられることがもっとも多く、介護者は強いストレスを感じます。介護者が無理をせず、自分を労わりながら介護を続けていくことが大切です。疲れた時はSOSを出しましょう。困った時に支援してくれる家族や知人、相談先や介護施設などを押さえておくと安心です。

ライター プロフィール

<秦 さきよ氏>
看護師・保健師として、糖尿病内科、血液透析室、特定保健指導を経験。現在は、看護学校非常勤講師を務めるかたわら、ライターとして医療記事を執筆中。認知行動心理学やナラティブにもどづく患者指導を得意とする。

監修者

<藤井 寿和氏>
合同会社福祉クリエーションジャパン 代表
陸上自衛官を経験後、介護の仕事に転身。医療法人の事業部統括マネージャーに就任した後、独立。

● 介護施設 現場支援コンサルタント
● レクリエーション介護士1級・2級 公認講師
● 介護情報誌「介護Times Tokyo」および「TOWN介護Tokyo」編集長

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