「医療におけるリハビリ」と「介護におけるリハビリ」の違いは?【看護ケア関連の知識・スキルを持った方のライティング記事】

  1. そもそもリハビリテーションとは?
  2. リハビリを必要とするのはどんな人?
  3. リハビリにはどんな人が関わっているの?
  4. 「医療におけるリハビリ」「介護におけるリハビリ」はなにが違うの?
  5. リハビリを受ける場所・内容で利用する保険が違う?
  6. デイケアとデイサービスの違いは?
  7. 【医療・介護】それぞれのリハビリ対象期間について
  8. 【医療・介護】それぞれのリハビリ目的・対応スタッフについて
  9. 受けたいリハビリを受けられない方が増加中!その理由は?
  10. 自費リハビリとは?
  11. 自費リハビリのメリット・デメリットは?
  12. 自宅でもリハビリはできるの?
  13. まとめ
  14. 施設探しのご相談
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リハビリとは、自分らしい生活や人生を取り戻すために行われる活動のことを言います。高齢化が進む日本では、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らすためにさまざまな支援が必要です。その中でリハビリは重要な役割を持ち、保険制度と深く関係しています。医療におけるリハビリと介護におけるリハビリについて、それぞれの目的や内容などをご紹介します。

そもそもリハビリテーションとは?

単なる機能回復ではない!

リハビリテーションは機能を回復させるための訓練と考えられがちですが、実はもっと広く深い意味があります。リハビリテーションという言葉は、ラテン語のrehabilitateという単語が由来です。re(再び)+habilis(ふさわしい)+ation(~にすること)というつくりになっていて、「再び人間としてふさわしい状態にすること」という意味です。
単なる機能回復や訓練ではなく、自分らしい生活や人生を取り戻すことが重要で、そのために行われる活動がリハビリテーションです。

リハビリの歴史

リハビリの歴史は、中世ヨーロッパで「身分や地位の回復」「教会からの破門の取り消し」という意味で使われたのが最初とされています。20世紀中頃になると、戦争で負傷した大勢の兵士たちに、治療や社会復帰の援助が行われました。この時にリハビリテーションという言葉が使われ、現在のように障害がある人へのリハビリテーションとして定着していきました。

リハビリを必要とするのはどんな人?

その人らしい生活や人生を送ることができていない人!

リハビリを必要とするのは、病気や事故、加齢などによって、その人らしい生活や人生を送ることができていない人です。病気によって一人で生活できない、事故のために仕事ができないといった場合に、体の機能の改善や維持、悪化の予防を目的に行われます。

リハビリにはどんな人が関わっているの?

健康に関わるさまざまな分野の専門家!

リハビリには専門的な支援が必要で、特定の職種の力だけで効果的に行うことができません。個人の健康に関わるさまざまな分野の専門家が、互いに協力し合うチームとなってリハビリを提供します。本人と家族を中心に、医師、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、その他多くの専門家がメンバーとして関わります。

リハビリの専門家について

理学療法士(PT)

起き上がる、座る、立つ、歩くなど、日常生活で基本となる体の動作のリハビリテーションを行います。失われた機能の回復や維持、障害の悪化の予防を目的に支援する専門職です。
PT(Physical Therapist)とも呼ばれます。

作業療法士(OT)

着替え、食事、入浴、家事といった日常生活や、家事、外出などに必要な動作(作業)のリハビリを行います。作業を通じてその人が持つ能力を維持・改善し、その人らしい生活の獲得を目標に支援します。
OT(Occupational Therapist)と呼ばれます。

言語聴覚士(ST)

話す、聞く、食べる、に関するスペシャリストで、ST(Speech Therapist)と呼ばれます。言葉によるコミュニケーションに問題がある方、えん下(飲み込み)がうまくできない方に、自分らしい生活が送れるように援助を行います。

「医療におけるリハビリ」「介護におけるリハビリ」はなにが違うの?

適用される保険制度の違い!

リハビリを受ける時には、基本的に医療保険と介護保険という制度を利用します。医療保険は誰でも必要な医療を受けられるしくみのことで、医療機関で払う医療費の一部を負担してくれます。国民全員が対象で、医療保険を使うことで実際に払う金額は医療費の1~3割ですみます。
介護保険は、介護を必要とする人が適切な援助を受けられるしくみです。対象になるのは、40歳以上65歳未満のうち特定の病気がある人、もしくは65歳以上の人です。介護保険を利用するには、介護が必要であるという認定を受けなければなりません。どれくらい介護を必要とするかによって受けられるサービスや金額は変わりますが、介護保険では所得によって料金の1~3割を負担します。

医療保険を使うリハビリと介護保険を使うリハビリでは、利用する場所や内容、目的などが違います。

リハビリを受ける場所・内容で利用する保険が違う?

医療保険でのリハビリは病院が基本!

医療保険を利用するリハビリは、基本的に病院での入院や通院で行います。日本の医療制度では、病気やけが、障害の種類によってリハビリが分類されています。一定の基準を満たして認可をうけた医療機関や施設が、医療保険によるリハビリを提供できます。病気やけがによって障害された体の機能を早く改善するための、治療や訓練に特化した内容です。

介護保険では施設や家でリハビリを行う!

介護保険を利用したリハビリは、施設や家で受けられます。施設に通って行うものを通所リハビリ、医療者が自宅に来て行うものを訪問リハビリといいます。通所リハビリはデイケアとも呼ばれ、病院や診療所、介護老人保健施設などに通いリハビリを行います。
訪問リハビリは、主治医の判断のもと自宅でリハビリを行うサービスです。病院や診療所、介護老人保健施設などからリハビリの専門職が自宅に訪問します。施設に通えない人、自宅内でリハビリを行う必要がある人が対象です。
その人らしく過ごせるために、体や生活機能を維持・向上させる内容です。

デイケアとデイサービスの違いは?

リハビリ内容が専門的かどうかの違い!

デイケアとよく似たものに、通所介護(デイサービス)があります。老人デイサービスセンターや介護施設に併設された事業所などで行われ、入浴や食事、レクリエーションとともに基本的なリハビリが提供されます。デイサービスに比べると、医師やリハビリの専門職の配置が義務付けられているデイケアのほうが、より専門的な内容のリハビリを受けられるという特徴があります。

【医療・介護】それぞれのリハビリ対象期間について

医療保険でのリハビリは日数制限あり

医療保険を利用する場合、病気やけがごとにリハビリが分類され、それぞれ受けられる日数に制限があります。医療保険でリハビリが提供されるのは、病気やけがが発症した急性期から回復期と呼ばれる期間です。診断や治療を行うのが急性期で、状態が安定していく期間が回復期です。基本的には決められた期間内でしかリハビリを受けられないので、長期継続が難しいという特徴があります。例外として、期間を超えても医師の指示があれば継続できる場合があります。

介護保険では日数制限なし!

急性期と回復期を過ぎて状態が安定してくると、地域や家庭に帰っていく維持期・生活期に入ります。維持期・生活期では主に介護保険によるリハビリが提供されます。日数制限はなく、介護が必要と認定されている限りリハビリを受けられます。そのため長期的なリハビリに向いています。

医療から介護へのスムーズな移行が大切!

急性期と回復期では医療保険によるリハビリ、維持期・生活期では介護保険によるリハビリが行われます。日数制限のある医療保険から介護保険へスムーズに移行することで、それぞれの時期に合わせたリハビリを受けることができます。

【医療・介護】それぞれのリハビリ目的・対応スタッフについて

医療保険でのリハビリは、寝たきり防止や機能回復が中心!

医療保険でのリハビリが提供されるのは、主に病気やけがが発症した急性期から回復期までの期間です。その間は家庭や地域に帰ることを目標に、治療と並行して寝たきり予防や体の機能を回復させるリハビリを行います。集中的なリハビリを行うために、対応するスタッフは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリの専門職が中心になります。リハビリのチームには、医師、看護師、薬剤師、栄養士、メディカルソーシャルワーカー、公認心理師など、多くの職種がメンバーとして関わります。

介護保険でのリハビリは、機能の維持・向上が中心!

介護保険が主となるリハビリでは、その人が持つ機能を維持させたり向上させたりすることが重要です。日常生活を送る上でできないことを、できるようにするために行われます。リハビリの専門職だけでなく、介護職員やケアマネージャー、機能訓練指導員などが連携してリハビリを提供します。

受けたいリハビリを受けられない方が増加中!その理由は?

医療保険によるリハビリの制限が課題!

医療保険によるリハビリ期間の終了後に介護保険へ移行した場合でも、希望するリハビリを受けられるとは限りません。1日のうちでリハビリを受けられる時間は、介護の必要度や他のサービスとの関係である程度決まってしまうためです。また介護保険でのリハビリでは、機能の維持や向上が重要視されているため、医療保険のように障害された機能の回復を目指す集中的なリハビリが受けづらい状況があります。

リハビリ難民が増加傾向にあり!

医療保険によるリハビリの期間が終了しても、機能を回復させる集中的なリハビリを望む人もいます。ただし介護保険では、医療保険と同じような時間や内容のリハビリは受けられません。このように体の機能を取り戻すためのリハビリを受けたくても、保険制度のために受けられない人が増えています。これが社会問題となり「リハビリ難民」という言葉が生まれました。

自費リハビリとは?

保険を使わずにリハビリを受けるサービス!

リハビリ難民と呼ばれる人たちが希望するリハビリを受けられるために、リハビリの保険外サービスが生まれました。自費リハビリと呼ばれ、医療保険や介護保険を使わずにリハビリを受けることができます。民間企業やクリニックが独自で料金やプランを設定し、個別の希望に合わせてリハビリを提供するサービスです。自費リハビリ以外にも、自費プログラムやオーダーメイド型リハビリなど、呼び名はさまざまです。

自費リハビリのメリット・デメリットは?

自費リハビリのメリット

自費リハビリの大きなメリットは、その人に合わせた方法でリハビリを受けられることです。医療保険や介護保険では、リハビリの内容や期間、回数などに制限があります。自費リハビリは保険による制限がないため、一人ひとりに合ったものを選ぶことができます。

自費リハビリのデメリット

医療保険や介護保険でのリハビリと比べて、料金が高くなるのが自費リハビリのデメリットです。もともとの料金に大きな差がなくても、保険制度で1~3割の負担ですんでいたところを、自費ですべて負担するためどうしても高額になります。また医療機関と密接に連携しているところもあれば、そうでないところもあるため、何かあった時の対応やサービス内容など、事前にしっかり確認しておく必要があります。

必要に応じて自費リハビリを使う!

自費リハビリは、保険内では補いきれない部分をカバーできる可能性があります。ただし自費リハビリにもメリット、デメリットがあるため、何でもプラスになるとは限りません。何のために自費リハビリを使うのか、よく考えた上で選ぶことが大切です。

自宅でもリハビリはできるの?

自宅でできる簡単なリハビリを紹介!

イスの立ち座り

足腰の筋肉を維持するために、イスから立つ・座る動作を繰り返すリハビリがあります。手を胸の前に組み、ゆっくり立ち上がり、ゆっくり座ります。足を中心に、背中や首など全身の筋肉を使う運動になります。バランスがとりづらく自信がない方は、イスの座る面や机など、どこかにつかまりながら行うと姿勢が安定しやすくなります。

ひざのばし

イスに座った状態で、片足だけゆっくり膝を伸ばします。膝が伸びた状態で5秒キープし、足を元の位置にゆっくり戻します。同じ足で10回繰り返したら、反対の足で10回行います。椅子からの立ち上がりや階段の上り下りに必要な、足の筋肉を強くします。

太ももあげ

太ももをあげるリハビリも、足の筋肉やバランスの維持に効果的です。立った状態でゆっくりと片方の太ももをあげ、ゆっくりおろします。左右10~20回ずつが目安です。太ももをあげた時にふらつく場合は、机やイスの背もたれにつかまりながら行いましょう。

タオルストレッチ

イスに深く座った状態で、肩幅より少し広めになるようにタオルの端と端を持ちます。バンザイをするように両手を腕に上げ、気持ちいいと感じる範囲で後ろに引きます。体を反らすのではなく、肩甲骨同士を近づけるように意識しましょう。可能であれば両手をそのまま上げ下げします。肩や肩甲骨周囲の筋肉を刺激し、肩の関節を動かしやすくなったり、姿勢がよくなったりする効果があります。

ラジオ体操

ラジオ体操は、全身の運動、筋肉や関節を動かして、無理なく体力を維持・向上できます。基本的には立って行いますが、難しい方のために座って行うラジオ体操もあり、立って行うのが難しい方でもできる内容となっています。第一と第二がありますが、それぞれ3分程度ずつで終わるため短時間で行えます。

症状がある場合は無理をせず受診する

リハビリを行うことで、体力や筋力の維持・増進が期待できますが、間違ったやり方をすると健康を損なってしまうおそれがあります。痛みがない範囲で、ゆっくり行いましょう。いつもと違う症状がある時は、無理をせずに病院を受診しましょう。

まとめ

医療保険と介護保険によるリハビリは、それぞれ制度の違いがあり、受けられるサービスが異なります。保険内で希望するリハビリが受けられない場合には、自費リハビリという選択肢もあります。自分に合ったリハビリを受けるために、制度やサービスのポイントを押さえておきましょう。

ライター プロフィール

<野田 裕貴氏>
高校3年生の時の入院をきっかけに、看護師を目指す。看護学校を卒業後、地元の大学病院へ就職。緩和ケア、ICU、血液内科を経験し、幅広い看護を学ぶ。また、部署での看護ケアと平行し、看護研究や災害派遣、学生への講義、海外病院視察など、さまざま経験。
新卒から11年勤務した大学病院を、独立のために退職。これまでに身につけた知識やスキルを活かし、医療や働き方についての記事を執筆するライターとなる。

監修者

<藤井 寿和氏>
合同会社福祉クリエーションジャパン 代表
陸上自衛官を経験後、介護の仕事に転身。医療法人の事業部統括マネージャーに就任した後、独立。

● 介護施設 現場支援コンサルタント
● レクリエーション介護士1級・2級 公認講師
● 介護情報誌「介護Times Tokyo」および「TOWN介護Tokyo」編集長

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