背中が曲がる・丸くなる・盛り上がるのは病気?【老人性円背】とは
- 介護に関するお役立ち情報
- 2024/11/07

高齢者の背中や腰が「大きく曲がった状態」のことを【老人性円背(ろうじんせいえんぱい)】といいます。
老人性円背になると、身体の重心バランスが変化し、身体機能が低下しやすくなります。介護が必要になる可能性もあるでしょう。
また、無理に力を入れると圧迫骨折を起こすリスクも。高齢者は予防に努めることが推奨されます。
この記事では、老人性円背の原因、予防・対処法などを詳しく紹介していきます。
- 老人性円背(ろうじんせいえんぱい)とは?
- 老人性円背が起こる原因は?
- 老人性円背になった場合のリスク
- 老人性円背になってしまったら注意したいこと
- 老人性円背の予防・対処法は?
- 老人性円背で自宅生活が不安な方へ
老人性円背(ろうじんせいえんぱい)とは?
高齢者の背中や腰が大きく曲がった状態
老人性円背(ろうじんせいえんぱい)とは、高齢者の背中や腰が大きく曲がる状態を指します。
猫背が進行したように背中や腰が曲がり、人によっては疼痛やしびれを感じることがあります。
また、女性に多く見られる傾向があるのも特徴でしょう。
具体的な状態
● 立った状態で首が前に出る。
● 腰が後弯する
● 股関節や膝関節も曲がる など
老人性円背が起こる原因は?
高齢者に老人性円背が起きる原因は、現状、完全特定には至っていませんが、以下の3つが起因すると考えられています。
①骨密度の低下(骨粗鬆症)
加齢とともに骨密度は低下することが確認されています。
「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」は、骨密度が低下する代表的な病気であり、知っている方も多いことでしょう。
高齢になると身長が縮んだり、背中が曲がったりするのは、骨粗鬆症が原因の一つとされています。
また、骨粗鬆症になるのは閉経後の女性が多くを占め、女性ホルモンの減少や老化が骨密度を低下させていると考えられています。
老人性円背が女性に多い点にもつながり、十分に注意したい病気といえるでしょう。
出典:公益社団法人 日本整形外科学会 「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
②椎間板の変性
高齢になると、背骨の骨と骨の間にある椎間板と呼ばれる組織の水分量や弾力がなくなり、変性を起こしやすくなります。
椎間板はクッションの役割があり、背骨への衝撃を吸収したり、動きをスムーズにしたりするほか、神経の保護をおこなうなど、身体を動かすうえで重要な組織です。
椎間板の変性は、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、慢性腰痛症といった病気の原因であり、老人性円背の症状につながることがあります。
出典:
信愛会 脊椎脊髄センター 椎間板とは?背骨の動きを支える「クッション」のひみつ
高橋 和久.腰痛と脊椎疾患.日本老年医学会雑誌.2008,45,p.498-500.
③加齢による筋力の低下
老人性円背は、加齢による筋力低下も原因の一つとされています。
脊椎は、背骨と体幹を安定させて体の重心を適切な位置に保てるようにS字状の形態をしていますが、筋力低下によりこのバランスが崩れ始め、背中が曲がる、腰椎が後弯するといった円背の症状が現われはじめます。
参考:坂光 徹彦,浦辺 幸夫,山本 圭彦.脊柱後彎変形とバランス能力および歩行能力の関係.理学療法科学.2007,22(4),p.489–494.

老人性円背になった場合のリスク

身体機能が低下し、生活動作に影響が出ることも
老人性円背になると、身体の重心バランスが変化するため、以下のように身体機能が低下し、生活動作に影響が出ることもあるでしょう。
呼吸がしづらくなる
胸や肋骨が曲がったまま固まり、背骨を反らす機能が弱まるため、呼吸しづらくなる。
圧迫骨折しやすくなる
骨密度低下の影響で、姿勢や重みに耐えきれず圧迫骨折(※)しやすくなり、さらに円背の症状が進行する。
※圧迫骨折:背骨を構成する積み木のような円柱状の骨(椎体)が、骨粗鬆症などで弱くなり、体重や軽い衝撃で潰れてしまう骨折のこと
誤嚥の危険性が高まる
背中が曲がることであごが上がりやすくなり、誤嚥リスクが高まる。誤嚥性肺炎を引き起こすおそれもある。
転倒の危険性が高まる
筋力が低下し、歩行の際はすり足になるため、転倒する危険性が高まる。
老人性円背になってしまったら注意したいこと
背中~腰、足に痛みが出る可能性あり
老人性円背になると、痛みを感じる方もいます。
どこから痛みが発生しているかわからないケースもありますが、主に曲がっている背中や腰にかけて痛みを感じることが多いでしょう。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を併発している場合は、坐骨神経痛など足への痛みを感じることもあります。
介護の際は背中や腰に負担がかからないようにする
老人性円背の方を介護をする時は、痛みのある箇所に注意しながら、背中や腰に負担がかからないようにゆっくりとおこないましょう。
また、老人性円背になると、腰をかがめた姿勢になってしまいます。
視界が低いため、歩行の際は上部に注意し、室内では頭上に物を置かないようにしましょう。
参考:脊椎手術.com 第15回 高齢者の背中曲がり・腰曲がり(後弯症)
老人性円背の予防・対処法は?
脊柱全体を動かすトレーニングを実施
体幹を強化する筋トレがおすすめ
予防策として効果的なのは、体幹を強化する筋力トレーニングです。
以下の部位について、筋肉をつけたり、柔軟性を持たせて可動域を広げたりする運動を取り入れるとよいでしょう。
【腹筋と背筋を強化する運動】
インナーマッスルを鍛えることで、筋肉がコルセットの役割を果たし、正しい姿勢の維持につながります。

【股関節と脊椎の柔軟性を上げる運動】
筋肉に柔軟性を持たせ、可動域を広げることで、背中の曲がりを防ぎます。

まずは、運動の習慣をつけていくことを意識して取り組みましょう。
参考:医療法人社団 めぐみ会 めぐみ会リハコラム Vol.01

サポート器具などで姿勢を正す
姿勢を正すことも、予防に大きな効果をもたらします。
コルセットやサポーターを活用し、正しい姿勢をキープしてみる、また、円背を悪化させないために、骨盤と背骨を支えてくれる椅子などを利用してみるとよいでしょう。
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カルシウム摂取で骨を丈夫にする
カルシウム摂取を心がけ、骨を丈夫にすることで、老人性円背の原因の一つである圧迫骨折を防げるようになります。
また、ビタミンD・マグネシウムにはカルシウムの吸収を良くする作用があるため、一緒に摂るとより効果的です。
その他、日光浴や規則正しい生活、栄養バランスの取れた3食の食事の摂取も実施してみましょう。
自分の骨の状態が気になる方は、整形外科などで骨密度検査を受けてみることをおすすめします。
老人性円背で自宅生活が不安な方へ

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