高齢者のパニック障害【老人性パニック障害】の症状とケアについて

高齢者のパニック障害【老人性パニック障害】の症状とケアについて

高齢者のパニック障害である【老人性パニック障害】をご存知でしょうか。
発症には【老人性うつ病】が関係し、予防するためには病院での検査はもちろん、家族や友人などの「周囲の支え」が必要不可欠です。
老人性パニック障害の特徴を理解するとともに、ケア方法について正しく理解しましょう。

  1. 老人性パニック障害とは
  2. パニック障害で見られる症状
  3. パニック障害の診断基準
  4. 老人性パニック障害を改善・予防するためには?
  5. 症状が重度、家族のサポートが難しいという場合は?
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老人性パニック障害とは

高齢者が発症するパニック障害

老人性パニック障害とは、高齢者が発症するパニック障害のことをいいます。

パニック障害は不安障害の一種で、突然激しい恐怖感や不安感などの強いストレスに襲われることで、動悸やめまい、呼吸が苦しいといったパニック発作を発症。
このパニック発作が日常的に繰り返される状態が続くと「パニック障害」と診断されます。

老人性パニック障害は老人性うつ病に起因することがある

老人性パニック障害は、老人性うつ病と密接な関係があります。

高齢者は年齢とともに体や心の機能が衰え、社会での役割を失う不安を感じるようになります。こうした心身の変化や孤独感を受け入れることができず、不安が増大することが老人性うつ病の発症要因となります。

うつ病が進行すると、イライラ、不眠、強い疲労感などの症状が現れ、これらが慢性的なストレス状態を作り出します。 この持続的な不安や緊張状態が引き金となって、パニック発作が起こりやすくなります。

また、老人性うつ病は、認知症の前段階として現れることもあるため、十分な注意が必要でしょう。

出典:
厚生労働省 不安障害|こころの病気について知る|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 高齢者「うつ」の原因は?
新里 和弘.高齢者のいわゆる心因性について考える―加齢の疾患に対する影響―.臨床神経学.2020, 60巻,10号,p.663-667

パニック障害で見られる症状

パニック発作で起こる具体的症状

脳内ホルモンの乱れで精神不安の症状が現われる

近年の研究により、パニック障害は脳内ホルモン(脳内神経伝達物質)のバランスが乱れることで、精神不安の症状が出ることがわかってきました。 具体的には以下の症状が現われます。

パニック発作で起こる具体的症状

●動悸、不規則な心拍や心拍数の上昇
●身震いや震え
●息切れ、息苦しさ
●窒息感
●胸痛や胸部不快感
●吐き気や腹部不快感
●めまいやふらつき感、頭が軽くなる感じや気が遠くなる感じ
●冷感または熱感
●異常感覚
●現実感の消失や離人症状
●自己コントロールの喪失や気が狂うことに対する恐怖
●死ぬかもしれないという恐怖

外出できなくなるなど二次的な症状が起きることも

パニック発作は、満員電車やエレベーター、車の運転、会議中など、人が集まる場所や緊張しやすい場所で起きるケースが多く見られます。

パニック発作の苦しさから、「また、あの症状が出たらどうしよう」という予期不安にかられ、外出できなくなるといった二次的症状を起こす場合もあるでしょう。

出典:厚生労働省
不安障害|こころの病気について知る|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
健康日本21アクション支援システム Webサイト セロトニン(せろとにん)

パニック障害受け入れ相談可能な全国の老人ホーム

パニック障害の診断基準

以下の①~④をすべて満たした場合に「パニック障害」と診断されます。

①予期しないパニック発作が繰り返し起きる

第1の診断基準

以下のように予期しないパニック発作が繰り返し起きている状態で、複数の症状を生じている。

【具体的基準】
予期しないパニック発作が繰り返し起こる。
そして、そのパニック発作は強い恐怖や不快感が数分以内にその頂点に達し、前項の「パニック発作で起こる具体的症状」のうち4つ以上を併発している。

②パニック発作が1ヶ月以上続いている

第2の診断基準

1回目のパニック発作の後に、以下のいずれかの状態が1ヶ月以上続いている。

A:さらに発作が起こるのではないかという不安
B:発作によって適応できないことや問題行動が起きるようになる

③他の疾患等を原因とするパニック発作ではない

第3の診断基準

パニック発作が、他の疾患(甲状腺疾患や心肺疾患など)や薬物・アルコール摂取を原因とするものではない。

④パニック発作が他の精神疾患では説明がつかない

第4の診断基準

パニック発作が、以下のような他の精神疾患では説明がつかない状態であること。

【パニック障害以外の精神疾患例】

・社交(社会)不安症…人前で注目を集める状況で、失敗や恥を恐れて強い不安や恐怖を感じ、身体的な症状(動悸、発汗、赤面など)が現れる

・限局性恐怖症…特定の物や状況(動物や虫、高所など)に対して、過剰で不釣り合いな恐怖や不安を感じる

・強迫症…不快で考えたくない考え(強迫観念)が繰り返し頭に浮かび、その不安を軽減するために特定の行動を繰り返さずにはいられない状態になる(例:過剰な手洗い、戸締りやガス栓の確認)

・心的外傷後ストレス障害(PTSD)…災害、事故、暴力被害といった強烈なストレス体験(トラウマ体験)を原因に、その記憶が繰り返し思い出されたり、不安や緊張が高まったりする

・分離不安症…自宅や愛着のある人(親など)から離れることに対して持続的に強い不安が生じる

出典:
坂元 薫.内科医が知っておくべき精神科疾患.日本内科学会雑誌.2021 , 110巻,12号,p.2540-2552
厚生労働省 不安障害|こころの病気について知る|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
こころの情報サイト
不安症
PTSD

うつ・統合失調症に対応している全国の老人ホーム

老人性パニック障害を改善・予防するためには?

パニック障害は、病院を受診して正しい認識のもと治療をおこなう

まずはパニック障害について理解を深める

老人性パニック障害を改善・予防するためには、症状や対処方法について正しい知識を得て、理解を深めることが大切です。

パニック障害の疑いがある場合は、まず、精神科や心療内科を受診しましょう。

また、自分自身でできる予防や対処方法もありますが、家族や周囲の方の協力も重要となります。

心理療法で不安をコントロールする

パニック障害の原因は精神的な不安であることから、その不安をコントロールするのが第一の改善方法です。

不安を悪化させやすい考え方や行動を少しずつ修正し、「大丈夫だ」という自信を取り戻すために、「認知行動療法」と呼ばれる心理療法が効果的とされています。

認知行動療法は、「認知(ものの見方や考え方)」と「行動」の両面からアプローチすることで、心の不調を改善していきます。

パニック障害における認知行動療法の例

認知の修正
「心臓がドキドキする=心臓発作で死んでしまう」という破滅的思考を「心拍数の上昇は不安の自然な反応で、危険ではない」という考えに修正する

行動療法

意図的に軽い運動をして心拍数を上げ、「動悸=危険」ではないことを体験学習する
避けていた電車や人混みに段階的に慣れる練習をする
呼吸法やリラクゼーション技法を習得する

薬物療法が併用されることもある

パニック発作を軽減させる方法として、薬物療法もあります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬がパニック障害にも効果があることがわかっているため、薬物療法が併用されることも多いでしょう。

症状のタイプによって処方される薬の組み合わせが異なるため、薬物療法は、医師に相談しながら進めていきます。

出典:
こころの情報サイト 不安症
NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター そもそも認知行動療法(CBT)ってなに?

発症者本人の心がけによる予防

発症者本人の心がけによる予防方法としては、自分に合うストレスを緩和させる方法や、心と体がリラックスできる方法を見つけることです。

そして、段階的に新しいことへチャレンジして、自信を取り戻していきましょう。

ストレス緩和やリラックス方法の例

● 生活リズムを整える
●十分な睡眠や食事をとる
● 信頼できる人との人間関係構築
● 新しい趣味の時間を増やす
● 安心できる家族や親しい友人と会う機会を増やす  など

老人性パニック障害の方の予防取り組み例

>72歳 女性 神奈川県
写真を趣味として楽しむようになり、徐々に外出する機会やいろいろな出会いが増えた。

>75歳 男性 埼玉県
元々興味があったギターを始めたことで、ギターに集中し、余計なことを考えなくなってきた。

>80歳 男性 千葉県
ゲートボールで身体を動かすようになり、ストレスの発散ができるように。さらに、生涯の仲間もできた。

経験者の取り組み例にあるとおり、あらゆる興味を持ち、視野を広げて日々を過ごすこともパニック障害の予防につながります。

今から始めても遅くはありません。高齢だからと諦めずに、少しずつ新たなチャレンジをしてみましょう。

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家族の支えも大切な予防法

パニック障害の改善・予防は家族の支えも大切

パニック発作は、家族や周囲の方が思っている以上につらく不安に感じているといわれています。

パニック発作を理解してあげることが、本人の不安を和らげることにもつながっていきます。

家族によるパニック障害ケアの方法

● 顔を見て話す
● 背中をなでながら、やさしく「大丈夫」と声掛けをする
● 症状や不安の程度を聞き、苦しみを理解してあげる
● 深呼吸を促す
● 同じことを何度も聞き返さない  など

家族や身近な方による「気付き」も重要です。

日頃からのコミュニケーションだけではなく、小さな変化も見逃すことなく手を差し伸べられる関係づくりや、その環境整備も求められます。

出典:厚生労働省 家族、友人として|パニック障害・不安障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス

症状が重度、家族のサポートが難しいという場合は?

老人ホームへの入居検討が推奨される

老人性パニック障害の症状が重度であったり、家族でのサポートが難しかったりする場合は、老人ホームへの入居を検討してみるのも一つの手です。

「MY介護の広場 老人ホームを探す」入居相談室においても、パニック症状に悩み、老人ホームを探したいという相談をよくいただきます。

また、老人ホームへの入居後、スタッフの適切なケアで症状が改善した、レクリエーションを通じて生涯の仲間ができたという嬉しい報告も頂戴しています。

パニック障害があっても入居可能な老人ホームをご紹介

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